ボイトレコラム⑦ 効果的な課題曲の選び方


 

音楽は、リズム、メロディ、ハーモニーの三つの要素で構成されています。

 

リズム=拍、メロディ=旋律、ハーモニー=調和。

「歌の上手さ」を決める要素も、この3つだと言えるでしょう。

これは私の生徒たちは、私からよく聞かされている言葉だと思います。

 

 

本日は、これらを効果的に学べる課題曲選びについてお話を致しましょう。

 


 

レッスンで歌う課題曲を選ぶ上で、私が生徒たちに勧めているのは、

洋楽のカバー曲を歌うことです。

 


元来POPSは、アメリカを発祥として日本へ入って来た音楽です。

 

 

ボイトレコラム 効果的な課題曲の選び方

 

日本へ入って来た当初は、POPSを歌うための指導法も確立されておらず、

異分野であるクラッシックの発声を、無理矢理POPSに当てはめて指導するトレーナーが多くいました。

 

そのために歌声がどんどんクラッシック色を帯びてしまい、

ギャップに悩み、苦しんだシンガーも多くいたように思います。

 

 

日本でのその指導法に疑問を感じたトレーナーが渡米し、

本場アメリカでトレーニングを受け、

その歌い方や指導法を日本に持ち帰ったことによって、日本の音楽シーンもかなり進化しました。

 

今や「J-POP」「K-POP」は、独自のスタイルを確立しています。

 

 

それでもやはり、本場アメリカの、英語の歌詞とリズムで作られた曲を歌うことで得られるものは、本当に沢山あるのです。

それは後に、邦楽を歌う時にも大きな効果を発揮します。

 


 

詳しくお話しましょう。

 

ボイトレコラム 効果的な課題曲の選び方


邦楽と洋楽の違い、それは歌詞の言語です。


当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、

その言葉の違いが、ここでの重要な要素なのです。


 

日本語は通常、一つの子音一つの母音が合わさって一つの文字を形成しています。

 

「か」なら「KA」「さ」なら「SA」というように、子音で始まって母音で終わる言語であり、

その一つの「子音+母音の組み合わせ」が一音節となります。

 

そのため日本語の歌詞は、文字の数だけ音を必要とするのです。

 


例えば「きのうは」という言葉なら、その単語一つだけで四音節となり、

「き-の-う-は」と、四つの音を必要とします。

 

 

では、英語はどうでしょうか。

 

ボイトレコラム 効果的な課題曲の選び方

 

英語は元々、リズムの中で話される言語です。

 


一つの文章の中のどれかの単語が、過去形や未来形に形を変えて文章の長さが変わっても、

それを話す(時間的な)長さもリズムも変わらない

という特性を持っています。

 

そして、英語の中で口語的に使われる単語の多くは、一音節又は二音節の短いものがほとんどです。

また単語の中にアクセント(強弱)があるため、一つの音符に複数の音節を乗せることも出来ます。

 

 

ですから上述の「きのうは」「Yesterday」という単語も、

「Yes-(ter)-day」「タン-(タ)-タン」と、二音で表現してしまうことが出来るのです。

 

 


 

この英語の特性が、音楽に非常に有効なのです。

 

 

「き-の-う-は」と「Yes-ter-day」。

決定的な違いは、リズムです。

冒頭でもお話をした、「歌の上手さ」を決める三大要素の一つです。

 

 

日本語で「き-の-う-は」と音に乗せようとすると、「タ-タ-タ-タ-」と四音節となり、

それぞれが一つの音符を必要とすると言いました。

 

 

かたや英語の「Yes-ter-day」は、二音しか必要としません

それは裏拍が出るためです。

 

「Yes-(ter)-day」=「タン-(タ)-タン」の、「ter」の部分は裏拍となり、

裏拍が出ることで、その単語自体も、まるで跳ねるかのようにリズムを持ち始めます。

 

 

この「裏を感じること」歌う上でのリズム作りにとても重要であり、

このリズムがアーティキュレーションを作ります。

 

洋楽をカバーし、沢山の英語詞を歌う事によって、この部分が自然と養われるのです。

 


ボイトレコラム 効果的な課題曲の選び方

 

また、裏拍を感じることが出来るようになると、

音程も格段に良くなります。


 

音程とは音と音との間を指します。

 

音程の良さとは、「一音一音を正しい高さで出す」ということではなく、

音と音の間の部分、「繋がりの部分をどう表現するか」ということなのです。

 

 

間の部分、繋がりの部分は「裏」に当たりますので、

洋楽を歌うことで何故音程まで良くなるのかの理由は、想像に苦しくないかと思います。

 

 

このような理由から、私は自身の生徒たちに、洋楽を課題曲として与えることが多いのです。

 

そしてその練習方法イヤートレーニングにも効果的なものがあるのですが、

この辺りはまた次の機会に詳しくお伝えしたいと思います。

 


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